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フィービー(鳴潮)

提供:カノウィキ

共鳴者一覧
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凝縮
焦熱
電導
気動
回折
消滅
フィービー
祝福のホーリーライト
言語別表記 페비 Phoebe
菲比(fēibǐ)
登場作品鳴潮
声優 本渡楓 이보용
Rebecca LaChance
傅婷云
共鳴者情報
性別
出身リナシータ
所属隠海教団
共鳴能力祝福のホーリーライト
武器光のハルモニア (増幅器)
共鳴属性
回折
戦闘スタイルメインアタッカー
協奏効率
騒光

フィービー鳴潮に登場するキャラクターである。リナシータの隠海教団所属。

紹介

歳主の名において、あなたの旅路が
愛と光に満ち溢れるよう、お祈りします。

隠海教団の侍祭・フィービーは敬虔で親しみやすく、そして穏やかで品位のある人物である。
教義を厳守する彼女は、自らを律する聖職者でありながら、愛するもののために喜び踊るような純粋な心を今も持ち続けている。

基本情報

育成素材

共鳴者突破素材 スキルレベルアップ素材
罪を清めるコンク スパークジュエルウィード 低音・唸り音核 レント螺旋 低音・唸り音核 時を司る匕首

スキル

基本攻撃 : 輝きよ、降り注ぎたまえ

通常攻撃

清浄なる輝きを放ち、最大3段の連続攻撃を行い、回折ダメージを与える。

重撃

スタミナを消費して目標を攻撃し、回折ダメージを与える。

空中攻撃

スタミナを消費して杖に乗って下へ急降下し、滑空しながら攻撃を行い、回折ダメージを与える。

空中重撃

スタミナを消費して杖に乗って前方へ一定距離滑空する。
※空中で回避・鉤縄を使用すると、空中重撃を再発動できる。

回避反撃

回避成功直後に通常攻撃を行うと、目標を攻撃して回折ダメージを与える。
※フィービーが【鏡の環】の内側にいる時、回避反撃がチャミュエルの星・回避反撃に代わる。

共鳴スキル : 光の在処を求めて

目標の位置に【鏡の環】を召喚し、回折ダメージを与える他、命中した目標を2秒間停滞させる。【鏡の環】1つにつき、最大12体の目標を停滞させることが可能。召喚後、一定時間内に共鳴スキルを再一回押しすると、【鏡の環】が位置にワープし、回折ダメージを与える。

  • 【鏡の環】から遠く離れる場合、ワープはできなくなる。
【鏡の環】
  • 【鏡の環】は30秒間持続。フィービーが新しい【鏡の環】を召喚する時、元の【鏡の環】は消える。
  • フィービーが【鏡の環】の外側にいる時、通常攻撃回避反撃が【鏡の環】に命中すると清浄なる輝きが屈折し、【鏡の環】の内側にいる目標に回折ダメージを与え、命中した目標を【鏡の環】の中央に牽引する。このダメージは通常攻撃ダメージと見なされる。この効果は0.5秒ごとに1回発動可能。
  • フィービーが【鏡の環】の内側にいる時、通常攻撃が通常攻撃チャミュエルの星に代わり、最大3段の連続攻撃を行い、回折ダメージを与える。このダメージは通常攻撃ダメージと見なされる。

共鳴回路 : 交差する星屑の祝福

フィービーの【祈願】が満タン時、【祈願】を全て消費して、以下2つのスキルの中から1つ選択して発動できる:

重撃神聖なるアブソリューション通常攻撃を長押しすると、回折ダメージを与え、命中した目標に1スタックの【騒光効果】を付与する他、より高いダメージを出せるアブソリューション状態に入る。

共鳴スキル清浄なるコンフェッション共鳴スキルを長押しすると、回折ダメージを与え、命中した目標に1スタックの【騒光効果】を付与する他、【騒光効果】をより生かせるコンフェッション状態に入る。

  • アブソリューション状態とコンフェッション状態は同時に存在できない。新しい状態に入ると元の状態は上書きされる。
  • 重撃神聖なるアブソリューションと共鳴スキル清浄なるコンフェッションを発動するには、先に【福音】を全て消費する必要がある。
  • 【福音】を全て消費しても、アブソリューション状態とコンフェッション状態は解除しない。
重撃・スターライト

フィービーが【福音】を所持時、通常攻撃3段目または回避反撃を発動すると、次の重撃が重撃スターライトに代わる。
それを発動すると、【福音】を30Pt消費して回折ダメージを与える。

  • アブソリューション状態 : 重撃スターライト発動時の【福音】の消費量が15Pt現象する。【騒光効果】が付与された目標に命中した場合、そのダメージに256%のダメージブーストが付与される。
  • コンフェッション状態 : 命中した目標に5スタックの【騒光効果】を付与する。

共鳴解放 : 光を導く誓い

フィービーが手の中の輝きを光を導く鏡に凝縮し、そして力強く打ち砕き、回折ダメージを与える。

  • アブソリューション状態:ダメージ倍率が255%アップ。
  • コンフェッション状態:命中した目標に8スタックの【騒光効果】を付与する。

変奏スキル : ゴールデングレース

近くの目標を撃退して回折ダメージを与える。

終奏スキル : 傾聴の心

周りの目標に合計フィービーの攻撃力の528.41%の回折ダメージを与える。

  • アブソリューション状態:ダメージ倍率が255%アップ。
  • コンフェッション状態:チーム内登場キャラに黙祷効果を付与する。

黙祷効果:一定範囲内にいる目標に回折ダメージ耐性を10%ダウンさせる他、100%の【騒光効果】のダメージブーストが付与される。目標に付与されている【騒光効果】がダメージ発生後、次のダメージ発生周期が50%延長する。この効果は30秒間持続し、フィービーがアブソリューション状態に入ると消える。

共鳴チェーン

攻略

パーティ編成

武器

音骸

経歴

プロフィール

  • 基本情報 [表示]
隠海教団の侍者を務める、優しく信心深い聖職者のフィービーは、常に純粋な心で向き合い、じぶんの職務を真摯に果たす。彼女の祈りは、まるでその手のひらに集まる輝きのように、明るい温もりと柔らかな安らぎを人々にもたらす。
  • 共鳴能力測定報告 [表示]
共鳴能力

祝福のホーリーライト


共鳴能力分析報告

隠海孤児院から教団に送られた推薦状を抜粋。
あの時、私は彼女の左太ももに光る音痕をみました。きっと、インペラトルの祝福です。 ……彼女の共鳴能力には、光を実体化して様々な形のプリズムを屈折する力があります。嵐で照明を失った暗闇の中でも、彼女は部屋中を優しく明るい光で満たしてくれました。その光で皆の心を落ち着かせ、安らぎと希望を与えてくれたんですーーまるで『隠海修記』にある言葉のように、彼女の心に宿る芯からの光は、奉仕を何度も繰り返そうと溢れて出てきます……

*本アーカイブは孤児院から隠海教団記録保管所へ移管済み。

我々には、見習い侍祭であるフィービーの比類なき共鳴能力が、彼女のゆるぎない信仰心から生まれたものであると確信している。そこには以下のような理由がある。
音骸神の使い」が彼女に懐く様子からも明らかであり、この現象は一部の信者のフィービーに対する信頼を強めている。事実、見習い侍祭フィービーは救済活動において目覚ましい活躍を見せ、周囲から認められてきた。そのため、我々は満場一致で彼女の見習い期間を修了し、正式に侍祭になることを承認する。
しかし教団内部では、音骸と角に親しくすることは教義に反しているという意見もある。神の使いの祝福と歳主の愛は等しく、全ての人に平等に降り注ぐべきものであり、偏ってはならない。また、神の使いと角に親しくすることは、予期せぬ危険をもたらす可能性が生じる。よって、フィービーは使役所に配属せず、聖事部に移動させた方が適当だと判断した……


オーバークロック診断報告

『隠海教団-聖事部共鳴者プロフィール』より抜粋
……被験者のサンプル波形検査図は、楕円形の変動を示している。時間領域は安定しており、異常な波動は見られない。よって、検査結果は正常値にあると判断。
現在、オーバークロック閾値も安定性も高い。オーバークロックのリスク、オーバークロック歴もなし。

フィービー侍祭は常に「沈黙」と「自粛」の教義を厳守しており、同年代の侍祭の中でも群を抜いて高い安定性を誇る。観察の結果、フィービー侍祭の共鳴能力には周波数を安定させる効果があり、音骸や反響生物に強い影響を与えることが確認された。また、人間も一定の影響を受け、精神的な「癒し」を感じ取れる。この特性から、彼女は慰問や調停といった仕事を得意としていると判断した。

*最近のコメント : フィービー侍祭は波形の定期検査で、極めて短い時間だが乱高下するような波動を示した。現時点で異常は見られないが、観察を続け、必要に応じた対処を推奨する。

ストーリー

  • 侍祭の日常 [表示]

ありふれた午後の……ラグーナを行き交う人々は、例年以上の盛り上がりを見せている。
長期閉鎖を見送っていたカルベウェールが再開される――との知らせは、ラグーナを越えて海の彼方まで伝わっていた。この数日で、街には多くの旅行者の姿が見られた。まだ夕食の時間には早いが、トラットリア・マルゲリータには噂を聞きつけた多くの観光客で賑わっている。ラグーナの美酒は、その景色と同様に人々を魅了する。ネクターワインは人々を夢の世界へ誘うが、酔いが回りすぎると予期せぬ事態を招くことも。
最初は、ほんの些細な好みの違いを話していたはずが、徐々に激しい議論へ発展していった。
抑圧に陥没したのか、それとも販売を誘う手段に何か刺激的な娯楽が必要だったのか、人々は熱くなり、その議論に加わっていく。
――すると議論はさらに白熱し、最終的にはなんと決闘になってしまった。
トラットリアは一瞬にしてステージと化す。ピザとケーキが飛び交い、シーフードは皿から飛び出し通行人の顔面に飛び散り、野次馬たちは慌てて逃げ惑いながらも、遠くから戦況を気にかける。
「お客様、やめてください! お皿が割れてしまいますよ! 食器を置いてください! 危ないですっ!」
「ッー!!」
店主は尻尾の毛を逆立て、へらを手にしながら事態を収めようとしていたが、混乱の渦の中心に近づく勇気はなかった。
その時、群衆の中から小さな人影が飛び出した。
「――どうか、落ち着いてください!」
高く掲げられた杖が空中で優雅な円を描くと、金色に輝く鳥が舞い降りる。まるで圧倒的な力があるかのように見えたが、その鳥は静かに鈴を鳴らしていた二人の額に軽く触れるだけだった。まるでトントン拍子に荷がけ、波紋を広げるかのようだ。
先ほどまで怒り狂っていた二人は、一瞬にして静かになり、聖なる光で洗礼を受けたかのように穏やかな微笑みを浮かべる。そしてテーブルに倒れ込むと同時に、いびきをかき始めた。

「皆さん、ご心配はいりません。 ただ眠っているだけですから」
小柄な金髪の侍祭は杖を収め、真剣な顔で言った。
「しかし、教団の規定によって、公共の秩序を乱した者は、相応の罰を受ける必要があります」
「『節制の』美徳は、歳主が私たちに与えてくださった贈り物。だからこそ美食やワインは、より一層甘美なものとなるのです……ごく小さな『話し合い』が、ラグーナで過ごす楽しい時間の妨げにならないよう願っています」
その優しく穏やかな笑顔に、群衆は沈黙で答えた。

近衛所の侍祭たちがガルデリアを連れて現場に到着した時には、すでに騒動は収束していた。
「そうですよ、この目ではっきりと見ました! 彼女が杖で、二人の大男を一撃で気絶させたんです! それから、どこからともなく巨大なぬいぐるみが現れて、二人を運び去っていきました! 見た目は若いのに、人は見かけによらませんねぇ……」
後片付けを手伝っていた客は、拝謁リ手振りを交えて当時の状況を説明した。
先頭の侍祭はデバイスを取り出して記録しようとしたが、すでに教団に報告書が届いていることに気づく。そこには、事の発端から連行された二人の処遇まで、細かく記されている。
「……ええと、もう大丈夫なんですか?」
「もちろんです」
侍祭はデバイスをしまい、きっぱりと答えた。
「フィービー侍祭に任せましょう。 彼女は揉め事の対処に慣れていますから」

  • 帰る場所 [表示]

拝啓 クレマン様
長らくご連絡を差し上げられず申し訳ございません。このところ業務対応に立て込みがちで、対処すべき問題が山積みでして。大変残念なお知らせですが、取引先のマリン夫妻がネコニオへ渡航中、残念な形で帰らぬ人となりました。蔵主の導きのもと、安らかに眠れるようお祈り申し上げておりますので、ご安心ください。
……沈没した商品の代金につきましては、以前締結された契約に基づき、マリン家の残された財産から補償するべく、売却手続きを進めております……苦渋の決断ではありますが、あの事業には我がの全てを注ぎ込んでおりましたから、継続がかなわない以上どうするしか……
フィービーという少女を覚えておりますでしょうか——両親を亡くした、あのか弱いそうな少女です。彼女には行くところがないのです。私は商売で家を空けることが多く、面倒をみてあげられません。そこでマリン家の遠縁と親交があるクレマン様に、どうか彼女を引き取っていただきたいのですが……

私は住所に誤りがないことを確認してから手紙を仕舞い、再びドアを叩いた。立て続けのノック音に隣人が不審そうな目を向けてきたが、ドアの向こうからはやはり何の反応もない。小さなノブは扉の奥で静かにつっかえている。こんな状況には、慣れているようだった。
「その人たちなら、家族で休暇に出かけましたよ」隣人が何気ない声で言う。「そうでしたか、ありがとうございます……行きましょう、フィービー」
その場を離れる時、すずかに開いた窓のカーテンが視界の端でいささか揺れた。私はフィービーの手を強く握り、この豪奢な街を後にする。ラグナ城は広いが、一人の少女が帰れる場所を見つけるのは難しい。これで何枚目のドアだろうか、何度目の拒絶だろうか。もう、覚えていない。
……孤児院に長年勤めていた私は、様々な形の拒絶に慣れていたが、フィービーに同じような経験をさせるわけにはいかない。幼い彼女には、傷を癒してくれる温かい家族環境が必要なのだ。
「申し訳ありません……その子の境遇には同情しますが、子どもを引き取るのは、食器を増やすように簡単な話ではありませんから……これは、ほんの気持ちです。他を当たってみてください」
「お願いの手紙、ですか? ええと……受け取った覚えないですね。今さらですが、孤児院で引き取ることはできないのでしょう?同年代の子たちと寝食を共にしたほうが、その子にとっても良いと思いますが」
「……マリン家の借金が、まだ清算されていないと聞いています。債権者に請求されては困りますから、ご理解ください」
……
「イザベラノンナ……悲しまないで」
目の前に、ジェラートが差し出されている。いつの間にか、私の周りにはたくさんの小さな音楽家が集まっていた。彼らは旅客宛に配るジェラートやデザートを持って、私——というよりも、フィービーに寄り添ってくる。
「おじさんやおばさんたちはが忙しいときでも、パパやママみたいになかなか帰ってこられてないことも、知っています」
私は少し溶けたジェラートをぼんやりと受け取る。こんなに小さな子に慰められるとは、思ってみなかった。
善良なマリン夫妻は、黒潮の危機を乗り越えられるよう孤児院を援助してくれていた。それなのに私は、彼らの娘を安心して託せる養父母を見つけることすらできていない。この子は本当なら、両親の温かい腕の中で自由に笑い、安全な屋敷の下で幸せな人生を送るはずだったのに。
「大丈夫です、ノンナ。私は……みんなと一緒にいられたら、それで充分です。みんなと一緒に過ごす時間は、とても楽しいですから」
何も言えずにいると、幼い少女は私を見つめ、静かな笑顔を浮かべた。その微笑……優しさに、私の心は震える。
「みんな、これからも一緒ですよね?侍祭様から、歳主を目いっぱいそばにいると聞きました。そして、私たちが離れ離れにならないようにしてくれている、と」
彼女は一言一言、ゆっくり言葉を紡ぐ。私は結局、涙を堪えながら彼女を抱きしめることしかできなかった。
「そうね……帰りましょう、私たちの家に」

  • 何度目かの夜 [表示]

深夜の暴風雨は、まるでラグーナの水を全て注ぎ尽くすかのように激しかった。稲妻が薄い布団の上に燃ゆる怒りの影を落とし、交差する暗い影が身を縮める少女の上にしかかる。フィービーは眠れなかった。目を閉じると、荒れ狂う大波の上で揺れる小さな船の様子が頭に浮かんでくる。そして船と共に沈んでいく。
不安な夜は、歳主の肖像が挟まれた写真入れを父が枕元に置いてくれていた。これがあれば、歳主は嵐の中を導いて安全な港まで連れて行ってくれる、と以前語っていた。母はベッドの隣にデイシーの花を置き、お話を聞かせてくれた。勇敢で善良な子どもの元には歳主が神の使いを送り、港を守ってくれる場に導いてくれる、と母は語り、侍祭たちに頭を撫でられながら、自分と同じような境遇の子どもが他にもいること、リナシータの民は全て苦難を乗り越えてここで、最後に歳主の許しを得られることを教えてもらった。
侍祭の腕越しに、彼女は初めて壮大な歳主の聖像を目にした。巨大な魚の尾に、一瞬だけ恐怖を感じてしまう。しかし、優しい侍祭たちが彼女の肩を抱き、祈りの言葉を優しく唱えると、徐々に恐怖は薄れていく。今度は温かく明るい場所に案内された。侍祭たちは優しく接してくれたが、迷惑をかけないように過ごしたのは、きっと好ましいと思ったからだ。
フィービーは母が歌ってくれた子守唄を必死に思い出す。それを頭の中で何度も繰り返し、窓の外で激しく鳴り響く嵐の音をかき消そうとした。しかし、雷雨の音は一向に静まらない。あの暗い夜に引き戻されていく。
こっそりと遠洋航海の商船に忍び込み、船室の窓から船が遠くの水平線へと向かう様子を眺めていた。いつもあちらの方向から両親が帰ってくる時、船の帆が現れる。もう、ただ待っているだけではいられない。勇気を振り絞って、自ら一人を探しに行こう。
しかし、母が話してくれた物語の中のように海は優しくはなかった。甲板から慌ただしい足音と悲鳴のような叫び声が聞こえてくる。船は嵐に飲み込まれ、波に高く持ち上げられる。泣きながら両親を呼んだが、荒れ狂う波は無情だった。
冷たい海水に飲み込まれ、次第にぼやけていく視界の中で、父が残してくれた写真入りの貝殻が暗い海の底に沈み、やがて見えなくなっていく。再び目を覚ました時、彼女は全身ずぶ濡れで岸辺に横たわっていた。足の感覚が失われていく恐怖を抱え、少女を見つけた侍祭たちは「ここから流れ着いた者がいるとは……」「ましてや、こんなに小さな女の子が……きっと、歳主の祝福に違いない」と言っていた。
しかしフィービーには、何かに救われたような感覚があった。優しいそよ風のような力で海面まで引き上げられ、そのまま岸まで運んでくれたのだ。その何かは、最後に言葉を残してくれた……
怖がらないで。私たち、ここにいるから、と
フィービーは深い夢から意識を取り戻す。顔の横のマットレスが少し沈んでいた。どうやら、「毛むくじゃら」がやってきたようだ。雨夜の湿気とデイシーの香りと共に、ボタンの目と柔らかな布の耳に目を向ける――それは、そよ風のヘイヴンで出会った音遊だった。あの時、彼女は訪れた謎めいた洞窟を解き、「ブレン」と名付けた。ブレンはたくさんの新しい友達を紹介してくれる。一緒に丘の上で雲を眺め、彼女の目の涙を拭い、きれいな花を頭に飾る。
フィービー、悲しまないで。その体は温かくて柔らかく、微睡をするような懐かしい気配――風の気配を感じさせた。フィービーはそのまま毛むくじゃらの腹に顔を埋め、ゆっくりと眠りにつく。

  • いつもの朝 [表示]

目を覚ましたフィービーの目元は、まだ少し湿っていた。
「歳主のご加護がありますように。今日も一日、頑張りましょう!」
彼女はベッドから起き上がり、慣れた手つきでシーツを整えた。成長期を共に過ごしたこの小さなベッドは、今も変わらず懐かしい姿のままだ。フィービーは頬を叩いて眠気を飛ばし、仕事に臨む。
聖院でも、ささやかながらお祝いが催される。彼女は今日、先輩と準備を手伝うことになっていた。見習い侍祭になってから、ここに戻ってくるのは初めてだ。昨日は先輩姉妹たちとたくさんの話をした。もしもしたら、そのせいで昔の夢を見たのかもしれない。
フィービーは、すっかり一人前の大人になった。誰もが口を揃えて言う。だからこそ、彼女は皆の期待に応える。
朝の祈りが終わると今年度は、お祝いに必要な物の準備を始める。侍祭としての修行生活は忙しくも充実していた。計画通りに仕事をこなし、成果を上げることで、安心感と満足感を得られる。太陽が空に昇る頃には、彼女は何可なる侍祭たちと共に飾り付けを終えていた。
豊富に用意された食堂が、飾り一つで見違える。フィービーがお水をお供えするテーブルに並べると、音を散め洗濯しアイロンがけをした新しい服を着た子どもたちが集まってきた。皆、嬉しそうに胸を弾ませる。そこで丁寧に包装されたプレゼントを、大事そうに受け取った。
その温かい光景に、フィービーは思わず微笑む。
遠洋航海の商人だった父は、出航して最初に寄港する地方から、必ず贈り物を届けてくれた。長い航海の途中で、母はその贈り物にまつわる物語を記録し、返ってくると話を聞かせてくれた。それらは危険な海賊の襲撃の時もあれば、心温まる物語の時もあった。なかでも、お気に入りの贈り物はピンクのササゆぬいぐるみだ。その子は、優雅な音楽家だった。
暗い過去は彼女の記憶の中で徐々に色褪せていき、美しい思い出だけになってきた。
小さな音詰が風船の糸を引っ張り、大きく膨らんだ風船を見せびらかす。いつものようにフィービーは、その頭を撫でようと手を伸ばした。
「見習い侍祭のフィービーさん!」
しかし、先輩の鋭い声に体がビクッとなり、空中で手が止まる。慌てて後ろに手を隠し、少しがっかりした様子の音詰がふっくりと口をしている様子を見る。先輩の鋭い眼差しは、彼女を見透かしているようだ。「歳主が見ています。自分の立場をわきまえなさい」
…彼女は自分の新しい立場に慣れていなかった。音詰と親しく接することができない点には、特に。聖院は恵まれない人々に多くの機会や食べ物、住まい、そして責任を与えてくれた。フィービーは受け取った好意を、一つひとつ返していく。侍祭として、自分の責務をしっかりと果たさなければならない。
だけど、「フィービー」として、自分だけの「友達」と会う時間はあった。
彼女は無意識のうちに、腰に下げた写真入れに触れる。これは、彼女の小さな奇跡。最も大切な思い出を、「友達」は暗い海底から探し出し、彼女の元へ届けてくれたのだ。
「フィービーお姉ちゃん、風船が木の上に飛んでいっちゃったの。どうしよう……ジミーがお姉ちゃんは何とかしてくれるって言ったんだけど、お願いできる……?」
「もちろんです!」
子どもに袖を摘まれ、彼女は我に返る。雑念を振り払いながら人混みの中に戻り、再びお祭りの仕事に身を投じた。

夕日が屋根の端に沈んでいく。空は茜色に染んでいた。
仕事が終わる頃には、街から人の姿はなくなっていた。全てが静粛に包まれる。フィービーはイスに腰掛けて目を閉じながら、優しく吹き抜ける潮風を感じていた。まるで、時の流れが遅くなっているように思えた。
夕日を背にした小さな後ろ姿は、どこか寂しげに見える。フィービーを探しに来た先輩は、声をかけようと近づく。しかし、フィービーが浅い呼吸を繰り返しながら眠っていることに気づいた。少女はイスに背を預け、心地よさそうに眠っている。気づけば、小さな音詰たちが彼女の周りに寄り添っていた。
年上の侍祭はため息をつき、その場を後にした。
「今日は何事も……見なかったことにしておきましょうか」

  • 遠く眩しい光の中で [表示]

その他

テーマ曲

Daisy Crown
ボーカル: kahoca(Empty old City)
作曲: Neuron(Empty old City)
作詞: Neuron(Empty old City)
編曲: Neuron(Empty old City)
ミキシング: NNZN
マスタリング: Takeo Kira(Mastering Studio TEMAS)
音楽監督: Grass/Steven Tang

関連項目